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Gao助教、丸山准教授、岡田教授の窒化ホウ素ナノロールに関する研究成果がFlatChemに掲載されました!

  • 研究成果
六方晶窒化ホウ素ナノスクロール内に量子井戸アレイを形成
― 次世代ナノ光電子材料への応用に期待 ―
研究の背景

六方晶窒化ホウ素(hexagonal boron nitride: hBN)は、高い化学的安定性や絶縁性を有する二次元材料として知られ、ナノエレクトロニクスや光デバイス材料として注目されています。近年では、シート状材料を巻き込んだ「ナノスクロール構造」が新しいナノ構造体として関心を集めており、曲率や層間相互作用によって通常の平坦構造とは異なる電子特性を示す可能性が示唆されていました。
しかし、hBNナノスクロールにおける局所的な電子状態や、スクロール構造が電子バンド構造へ与える影響については、これまで十分に解明されていませんでした。

研究内容

筑波大学ホウ化水素研究センター(HBRC)および関連研究グループは、六方晶窒化ホウ素ナノリボンを巻き上げて形成されるhBNナノスクロールについて、第一原理計算(密度汎関数理論:DFT)を用いて、その安定構造と電子状態を詳細に解析しました。
研究では、幅21.67 nmのhBNナノリボンを巻き込んだナノスクロールモデルを構築し、内径や層間重なりの違いが電子状態に与える影響を調査しました。
その結果、スクロール内部でホウ素原子同士(B-B)および窒素原子同士(N-N)が近接する領域では、電子軌道の強い混成が生じ、局所的にバンドギャップが狭くなることを発見しました。これにより、スクロール内部に「タイプI量子井戸列」が自然形成されることが明らかになりました。

主な成果

本研究では、以下の成果が得られました。

・hBNナノスクロールが、内径約1.5 nm付近で安定な準安定構造を形成することを確認
・スクロール内部の層間相互作用により、局所的なバンドギャップ狭窄が発生
・均一組成材料でありながら、スクロール内部にタイプI量子井戸アレイが形成されることを発見
・曲率に由来する電気双極子効果により、内側から外側へ向かってバンド端が連続的に変化する「タイプII的バンド配置」も確認
・hBNナノスクロールが、光学・光電子デバイス向け新規ナノ材料として有望であることを示した

これらの成果は、二次元材料を基盤とした新しい量子ナノ構造設計に重要な知見を与えるものです。

今後の展望

本研究で見いだされた量子井戸アレイ形成機構は、hBNナノスクロールを利用した新規ナノ光電子デバイスや量子機能材料の開発につながることが期待されます。
今後は、スクロール形状制御や異種二次元材料との複合化を進めることで、電子・光機能のさらなる高機能化を目指します。また、ナノスクロール特有の曲率・層間相互作用を活用した新しい量子デバイス設計への応用も期待されます。


論文情報

論文タイトル
Formation of type-I quantum well arrays along hexagonal boron nitride nanoscrolls
掲載誌:FlatChem
DOI:10.1016/j.flatc.2026.101037
https://doi.org/10.1016/j.flatc.2026.101037
著者(筑波大学ホウ化水素研究センター)
Yanlin GAO助教
丸山 実那准教授(Mina Maruyama)
岡田 晋教授(Susumu Okada)

ホウ化水素研究センター(HBC)

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