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連合学習の新地平―生データを共有せずに組織の壁を越えて条件付処置効果を推計できる「DC-DML」

  • 研究成果

個人情報や機密性の問題から、生データを共有せずに機械学習や統計的因果推論を行う分散機密データ解析の研究が進んでいます。既存の研究では、一般的な連合学習のように解析モデルを共有してパラメータ更新を繰り返すアプローチが主流であり、そのためにインターネットに常時接続できる環境が前提とされてきました。

しかし現実には、たとえば筑波大学内の学生の教学データベースのように、インターネットに常時接続できない機密データへのアクセスには非常に厳しい制限が設けられています。

そこで本研究では、生データを次元圧縮した中間表現データのみを外部へ転送することで、一般的な連合学習と同等の統計的因果推論を可能にすることを目指しました。

本研究で提案する手法「DC-DML」は、単なる平均処置効果の推定にとどまらず、性別や年代といった条件下での条件付き平均処置効果を推定可能な革新的技術です。また、従来の連合学習では困難だった、組織の壁を越えた傾向スコアマッチングや統計的検定の実行も可能になります。

DC-DMLは、医療・教育・ビジネスなどさまざまな分野への応用が期待されており、今後は社会実装を見据えたPoC(概念実証)に挑戦していく計画です。

人工知能科学センター(C-AIR)
河又 裕士(人工知能科学センター 研究員)
岡田 幸彦(システム情報系 教授/人工知能科学センター)
今倉 暁(システム情報系 准教授/人工知能科学センター)
櫻井 鉄也(システム情報系 教授/人工知能科学センター)

【論⽂情報】
掲載誌:Expert Systems with Applications, Volume 296, Part C, 15 January 2026, 129066
論⽂タイトル:Estimation of conditional average treatment effects on distributed confidential data
著者:Yuji Kawamata, Ryoki Motai, Yukihiko Okada, Akira Imakura, Tetsuya Sakurai
DOI:10.1016/j.eswa.2025.129066

人工知能科学センター (C-AIR)

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